外国人が職業紹介事業を開始するために必要な手続きとは?

外国人が職業紹介事業を開始するために必要な手続きとは?
昨今、会社を設立し、職業紹介事業を開始したいという外国人の方が増えています。

しかし外国人の方が職業紹介事業をするためには、いくつもの手続きが必要なことをご存知でしょうか。

そこでこの記事では、外国人が職業紹介事業を開始する方法について、順を追って紹介します。ただし単純な手続きではないため、自分で書類作成・申請することが難しいと感じた場合は、ぜひ当事務所のような専門家に相談してみてください。

外国人が職業紹介事業をするには経営管理の在留資格(ビザ)が必要

外国人が職業紹介事業をする場合、次の3つのステップを経なければなりません。

  1. 経営管理ビザを取得する
  2. 会社を設立する
  3. 会社で職業紹介事業の許可を取得する

このうち「会社を設立する」「会社で職業紹介事業の許可を取得する」については、日本人でも同様の手続きをします。「経営管理の在留資格(ビザ)を取得する」ことは、外国人ならではの手続きです。

そして、ビザを取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。しかし、ただビザを取得することを目的に手続きを進めてはなりません。

実は「ビザの取得要件」と「会社で職業紹介事業の許可を取得する要件」が、関係しあっています。

たとえばビザを取得するためには、事務所要件を満たす必要があります。一方、職業紹介事業の許可を取るためには、こちらも事務所要件を満たさなければなりません。つまり両方の要件を理解したうえで、事務所を用意しなければならないのです。

このような要件同士が互いに関係しあっているポイントも意識しながら、手続きの進め方について見ていきましょう。

経営管理ビザを取得する要件

まずは経営管理ビザを取得する要件について紹介します。

経営管理ビザとは、日本国内で貿易やその他の事業経営を行う場合、またはその事業の管理に従事する場合に必要な在留資格で、いわゆる「就労ビザ」の一種です。

以前は「投資経営ビザ」と呼ばれていたものが、現在は「経営管理ビザ」に改正されています。

関連記事:経営管理(投資経営)ビザを取得したい方へ

そんな経営管理ビザを取得するためには、次の3つの条件を満たさなければなりません。

  • 事務所要件を満たす
  • 事業規模要件を満たす
  • 3年以上の経験を有する(事業の管理に従事する場合)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

事務所要件を満たす

経営管理ビザの許可を取得するためには、事業所を確保しなければなりません。

ポイントは次の3つです。

事業所の使用目的 事務所を借りる場合は、使用目的が「事業用」となっている必要がある。
事業所の権利関係 契約の名義は、原則として法人名義

法人代表者個人の名義の場合、代表者=申請者なら、物件所有者から「法人として使用すること」の使用承諾書などをもらう必要がある

事務機器等の設備 パソコン、電話、事務机、コピー機など、事務機器を設置し、事業を行える状態にする必要がある

関連記事:経営管理(投資経営)ビザの事業所について

なお、上記の条件を満たせば経営管理ビザは取得できますが、職業紹介事業をするためには、さらに追加で要件を満たす必要があります。詳しい要件は後ほど解説しますが、ここでは要点を押さえておきましょう。

  • 概ね20㎡以上の広さがある
  • 求人者・求職者の秘密を保持できる
  • 独立性がある
  • 事業の運営に好ましくない位置にない

事業規模要件を満たす

経営管理ビザを申請するためには、少なくとも以下のいずれかを満たしていなければなりません。

  1. その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する(法別表第1の上覧の在留資格をもって在留する者を除く)2人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること
  2. 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること
  3. ①又は②に準ずる規模であると認められるものであること

関連記事:経営管理(投資経営)ビザの投資額について

これは、最低でも500万円以上の投資が必要だということです。上記いずれかを満たす方法としては、次のような例が考えられます。

  1. 資本金500万円の会社を設立する
  2. 年収250万円の従業員を2名雇用する
  3. 資本金250万円の会社を設立し、年収250万円の従業員1名を雇用する
  4. 資本金250万円の会社を設立し、事務所の経費として250万円を投資する

ただし、有料職業紹介事業の許可を受けるためには、一定の財産規模を確保するよう定められています。事業所1か所で開業するとしても、基準資産額は最低500万円、そのうち150万円は現金・預貯金で用意しなければなりません。また、許可更新時には350万円×事業所数の基準資産額を有している必要もあります。

3年以上の経験を有する(事業の管理に従事する場合)

経営管理ビザを取得する方が事業の「管理」に従事する場合は、3年以上の実務経験を有している必要もあります。

ただし事業の「経営」をする場合は、実務経験は不要です。

たとえば自ら出資して会社を設立し、代表取締役として従事する場合、これは「経営」ですから実務経験は必要ありません。

会社設立の流れ

つづいて会社を設立する流れについて見ていきましょう。

かつての投資経営ビザでは、ビザ申請時に会社の設立が完了したことがわかる「会社の謄本(=履歴事項全部証明書)」の添付が必要でした。

しかし経営管理ビザの在留資格認定証明書交付申請では、まだ会社設立が完了していない場合は、「定款」など事業開始が明らかになる資料を提出すればビザを取得できます。

そのため現実的には、先に挙げた「事業規模要件」を満たす会社の設立準備を進めながら、経営管理ビザも併せて申請していくことになるでしょう。

さて、外国人が日本で会社を設立する場合、選択肢は次の2つに大別されます。

  • 株式会社
  • 合同会社

それぞれ設立する流れを見ていきましょう。

株式会社を設立する場合

外国人が株式会社を設立する流れは、次のとおりです。

  1. 設立に必要な事項の決定(会社名、所在地、事業内容、資本金額など)
  2. 株式会社の実印準備
  3. 株式会社の定款認証(公証役場で対応)
  4. 資本金の振込み
  5. 設立書類の作成・押印
  6. 株式会社の設立登記申請(司法書士が対応)

なお先述したとおり、定款が作成できたタイミングで、経営管理ビザの申請も開始できます。

関連記事:外国人の株式会社設立

合同会社を設立する場合

合同会社は、出資者と経営者が同一で、出資者全員が有限責任である会社形態です。アメリカのLLCをモデルにしているため、こちらの会社形態を選びたい方もいるでしょう。

合同会社を設立する流れは次のとおりです。

  1. 設立に必要な事項の決定(会社名、所在地、事業内容、資本金額など)
  2. 合同会社の実印(代表社員之印)準備
  3. 定款の作成
  4. 資本金の振込み
  5. 設立書類の作成・押印
  6. 合同会社の設立登記申請(司法書士が対応)

株式会社と異なり、合同会社の定款は公証役場での認証が不要です。ただし作成する必要はあり、設立登記時には法務局へ提出しなければならないことは覚えておきましょう。

なお、合同会社を設立する場合も、定款が作成できたタイミングで、経営管理ビザの申請も開始できます。

関連記事:外国人の合同会社設立

職業紹介事業の許可要件

さて、「職業紹介事業」とは、職業安定法第4条第1項において「求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」と定義されています。

このうち、手数料・報酬を受け取るのが「有料職業紹介事業」、いかなる名義でも手数料・報酬を受け取らないのが「無料職業紹介事業」です。

ここからは営利目的の「有料職業紹介事業」を設立する場合の主な要件について見ていきましょう。

関連記事:有料職業紹介の許可を取りたい方へ

資本金の要件(資産要件)

有料職業紹介事業の許可を受けるためには、「事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎」の要件をクリアする必要があります。具体的な基準は次のとおりです。

要件 概要 最低ライン
基準資産額 基準資産額=資産総額(繰延資産・営業権を除く)-負債総額 「500万円×紹介事業を行おうとする事業所数」の額以上(更新時は350万円×事業所数)
現金・預貯金 開業時のみの条件 「(事業所数ー1)×60万円+150万円」の額以上

参考:厚生労働省|有料(無料)職業紹介事業の許可申請にあたって

経営管理ビザの取得条件の箇所でも言及しましたが、事業所1か所で開業するとしても、基準資産額は最低500万円、そのうち150万円は現金・預貯金で用意しなければなりません。

事務所の要件

こちらも記事前半で触れましたが、職業紹介事業は事務所の要件も厳しく定められています。

  • 概ね20㎡以上の広さがある
  • 求人者・求職者の秘密を保持できる
  • 独立性がある
  • 事業の運営に好ましくない位置にない

とくに事務所内に面談スペース・個人情報を管理する書庫などを配置する必要がある点は注意してください。基本的には求人者・求職者の秘密を保持するために、面談用の個室、またはパーテーションで区切られたスペースを用意しなければなりません。(いくつか条件を満たせば、面談スペースの確保が免除されることもあります)

また、事業所の”独立性”を確保しなければならないため、シェアオフィスやバーチャルオフィスなどでは、経営管理ビザは取得できても、職業紹介事業の許可はおりません。

経営管理ビザの要件だけではなく、職業紹介事業の要件を満たしているかどうか判断するためには、事業所選びの段階から当事務所のような専門家に相談することをおすすめします。「

関連記事:有料職業紹介の事務所要件は?

「職業紹介責任者」の配置要件

職業紹介をする事業所には、職業紹介業務に従事する者50名ごとに1名以上の「職業紹介責任者」を配置しなければなりません。

一人で起業するなら、経営者自身が資格を取得しなければならないということです。

ただし職業紹介責任者になるためには、職業紹介責任者講習を修了し、さらに成年に達した後3年以上の職業経験を有するなど、いくつか条件を満たさなければなりません。

外国人の方にとっては、これがハードルとなることもありますから、有資格者の雇用も検討したほうがいいでしょう。

外国人が職業紹介事業をする際の注意点

外国人が職業紹介事業をする際には、次のような点に注意することも重要です。

  • 経営管理ビザは更新が必要
  • 人材紹介会社には多くの規制がある

それぞれ詳しく解説します。

経営管理ビザは更新が必要

経営管理ビザで認められる滞在期間は、当初は1年間であるケースが多いです。そのため日本に滞在して事業を続けるためには、更新しなければなりません。

しかし経営管理ビザの更新は、他のビザと比べると難易度が高いともいわれています。なぜなら会社として滞りなく納税していることはもちろん、従業員を社会保険へしっかり加入させているかや、事業の継続性が見込まれるかなどの条件を満たす必要があるためです。

そのため会社を設立するだけではなく、設立後の支援まで対応している専門家に相談したほうが安心でしょう。専門家のサポートのもと、事業運営の安定性が認められれば、2回目以降の更新間隔は3年・5年に伸ばされることもあります。

人材紹介会社には多くの規制がある

日本人・外国人が運営しているかどうかに関わらず、人材紹介会社には多くの規制が課せられています。

たとえば禁止事項だけでも、次のような例が挙げられます。

  • 特定の業種(港湾運送業務・建設業務)への人材紹介
  • 責任者不在での人材紹介
  • 事業者への退職勧奨・求職者への退職強要
  • 求職申込みの対価としてのお祝い金

また、次のような規制も存在します。

  • 手数料に関する規制がある
  • あらかじめ届出た職種のみ紹介できる
  • 「海外在住の外国人」に「日本での仕事」を紹介するためには追加の手続きが必要
  • 求人者・求職者に対して明示しなければならない事項がある
  • 苦情の適切な処理体制を講じる必要がある

意図せず違反行為をしてしまわないためにも、有料職業紹介事業に詳しい専門家のサポートを受けることをおすすめします。

職業紹介事業を開始したい場合は専門家に相談・委託するのがおすすめ!

外国人が日本で職業紹介事業をはじめるためには、「経営管理ビザの取得要件」と「有料職業紹介事業の許可要件」の両方を満たす会社を設立する必要があります。

さまざまな要件に注意して申請手続きを進めなければならないため、自分ですべて対応することは難しいでしょう。

また、会社を設立してからも、経営管理ビザを更新するためにはさまざまな規定を守って事業を運営していかなければなりません。日本の制度に不安がある場合には、「社会保険労務士」などの専門家に頼ることをおすすめします。

社会保険労務士・行政書士 松元事務所は、外国人の会社設立・経営管理ビザ取得・職業紹介事業の許可申請のすべてに対応しております。もし日本で事業を開始したいものの、手続きに不安がある場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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